1. トップ
  2. セッション詳細 JOSS2025

SESSION

セッション詳細

B プラットフォーム・エコシステム

B プラットフォーム・エコシステム6/23(月)  9 : 30~10:30  オンライン

B1
プラットフォーム特別セッション
OpenAlex
オープンリサーチ出版ゲートウエイ・Japan Institutional Gatewayのご紹介

Kyle Demes(COO, OurResearch)
山之城チルドレス智子
今野行
Affiliate機関


9:30-10:00:
あらゆる規模の研究機関は、研究戦略を効果的に計画、実行、評価するために、自機関および世界中の他の機関における研究活動に関する情報を必要としています。歴史的に、その情報は閉鎖的な商用ライセンスを通じてのみアクセス可能でした。このセッションでは、世界中の研究エコシステムに関する最も包括的で唯一完全にオープンなインデックスであるOpenAlexを紹介します。プレゼンテーションでは、まずOpenAlexの概要を説明し、研究分析におけるオープン性と透明性の重要性を強調します。次に、OpenAlexで一般的な研究分析を実行する方法を説明し、OpenAlexに基づいたいくつかの応用例を紹介します。

10:00-10:30
世界初の日本語にも対応したオープンリサーチ出版ゲートウェイ、Japan Institutional Gateway(JIG)は現在、筑波大学をサポーターとして協賛機関大学が10大学(現在手続き中1機関含む)参加しています。
資金提供団体JST、JSPSもJIGの理念をご理解いただき、Fundごとに論文を表示させるJSTエリア、JSPSエリアも開設しています。
大学ごとの出版エリアに分野に関わらずオープンアクセス論文を公開できるため、分野を横断したり投稿するジャーナルのない分野の論文の公開先として注目を浴びています。
人文社会系については、日本語論文もOA出版できScopusなど世界的Indexerに索引される点も魅力です。
日本では新しい公開査読を採用していることから、透明性のあるオープンディスカッションの文化も広がっています。
セッションではJIGの魅力についてお話させていただきます。

9:30-10:00:
Research organizations of all shapes and sizes need information on the research activities at their institutions and other institutions around the world to effectively plan, implement, and evaluate their research strategies. Historically, that information was only accessible through closed commercial licenses. This session will introduce OpenAlex, the most comprehensive and only completely open index of the world’s research ecosystem. The presentation will first provide an overview of OpenAlex, highlighting the importance of openness and transparency in research analytics, and will walk through how to perform common research analyses in OpenAlex and introduce some example applications based on OpenAlex.

B プラットフォーム・エコシステム6/23(月)   15 : 00~16 : 30  オンライン

B2
ラウンドテーブル「PIDエコシステム構築に向けたステークホルダー間の対話」
Roundtable Discussion "Dialogue among Stakeholders for the PID Ecosystem"

Estelle Cheng(ORCID)
青木学聡(名古屋大学)
Takaaki Aoki(Nagoya University)


永続識別子(PID, Persistent Identifier)とは、研究データを含む学術情報について、「研究活動に関わる対象(人物、データ、組織等)」に付番され、永続的にアクセスできる参照記号を指す。今日、DOIやORCIDなどの国際的なPIDを柱として、研究のライフサイクルを再構築しようとする動きが始まっている。日本においても、「第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けての提言」においてPIDの整備と活用に言及されている。この背景には、広く一貫したPIDの採用が、財政的・時間的節約や、日本の研究の見える化といったシステム的・ネットワーク的な便益をもたらすことへの国際的な認識の高まりがある。
このようなエコシステム構築、維持には多くのステークホルダの参加が前提となるため、各ステークホルダ間のビジョンを調整、統合するための戦略策定が不可欠である。本セッションでは、PIDに関わる国内ステークホルダーをお招きし、PIDの採用によって目指すビジョンとそのための課題についてご紹介いただく。さらに、各ステークホルダーによるディスカッションを通じ、PIDエコシステムを構築、拡大していくため活動計画案を検討する。

A Persistent Identifier (PID) is a permanent reference assigned to entities involved in research activities—such as people, datasets, and organizations—that ensures continued access to scholarly information, including research data. Today, there is a growing international movement to reconstruct the research lifecycle around globally recognized PIDs, such as DOIs and ORCID. In Japan, this trend is also gaining attention, as seen in the "Recommendations for the 7th Science, Technology and Innovation Basic Plan," which emphasizes the development and utilization of PIDs.
This movement reflects increasing international recognition that the widespread and consistent adoption of PIDs offers systemic and network-level benefits, such as cost and time savings, and enhanced visibility of Japanese research. However, building and maintaining such an ecosystem requires the participation of a broad range of stakeholders, making it essential to develop strategies for aligning and integrating their respective visions.
In this session, we will invite domestic stakeholders engaged in PID initiatives to share the challenges and values they aim to realize through PID adoptions, both from top-down national and bottom-up institutional approaches. Through discussion among these stakeholders, we will work toward drafting an action plan for implementing a PID-based ecosystem supporting Open Science.

B プラットフォーム・エコシステム6/24(火)  11 : 00~12 : 30  オンライン

B3
葛 RDM スキルバニラルーブリックの活用

梶田 将司(名古屋大学)
家森 俊彦(京都大学)


我々は、学術研究のライフサイクルに沿った研究データの蓄積・共有・公開および長期保管を通じて、研究者自らが研究データマネジメント (以降,「RDM」) のスキルを高められるとともに、RDMスキルを軸とした研究コミュニティ形成や異分野連携を可能にするアカデミックデータ・イノベーション成熟度モデル(以降、「ルーブリック」)を集積したルーブリックバンクの開発を目指している。RDMは研究者であれば誰もが日常的に行う基本的なスキルであるが、分野ごとに特有のものや所属研究室等に代々伝わるもの等、所属する研究コミュニティを通じて育まれることが多い。本研究では、ルーブリックを既存のルーブリックから容易に作成・登録でき、その活用・共有を通じて自らのRDMスキルを向上させつつ、RDMスキルを軸に研究コミュニティから学び、研究コミュニティに研究データを貢献できる利活用基盤とその利活用コミュニティを構築する。本セッションでは、ルーブリックバンクの種となる、我々が開発した葛 RDM スキルバニラルーブリックを紹介するとともに、実際にバニラルーブリックをベースに独自のルーブリックの開発を試みた地球科学、文化人類学、有機化学、オープンエデュケーション等の研究者をパネリストとして迎え、ルーブリックの開発・使用を通じた RDM スキル向上について議論する。

B プラットフォーム・エコシステム6/25(水)  9 : 00~10 : 30  オンライン

B4
JST-CHORUSフォーラム:研究成果の透明性確保とトラッキングのための戦略
JST-CHORUS Forum: Strategies to Ensure Transparency and Digital Tracking of Research Outputs

Mark Robertson(CHOR, Inc.)
浅野 光基(国立研究開発法人 科学技術振興機構)


今回のJST/CHORUS合同フォーラムでは、日本および世界における、研究者に求められるオープンサイエンスの要件の進化について探ります。
日本の新しいオープンサイエンス政策では、2025年度から新たに公募を行う競争的研究費によって創出された学術論文や根拠データの即時オープン化が義務づけられます。世界的にも、研究成果のオープンアクセス義務化の動きは加速しています。
研究公正の維持のために、研究者には、研究プロトコルの遵守、独創性の表明、資金の詳細の開示や研究に使用された設備などについて明示することが求められています。また、研究成果論文の投稿や出版の際には、研究成果の透明性やアクセス性を確保するために、リンク、PID(永続的識別子)、根拠データの記載が求められています。
本フォーラムでは、国内外から講演者を招き、出版プロセスにおける研究者の責任について議論し、研究成果の透明性の確保と研究成果情報のトラッキング促進に向けた戦略を探ります。

司会・モデレーター:

  • 林 和弘(文部科学省 科学技術・学術政策研究所)

登壇者:

  • 中村 春木(大阪大学)
  • Julie Glover(National Health and Medical Research Council, Australia)
  • Amanda French(Crossref)
  • Jeff Lewandowski(American Physical Society)

※ 日英同時通訳をご利用いただけます。

B プラットフォーム・エコシステム6/26(木)  9 : 00~10 : 30  オンライン

B5
シン教育プロジェクトが拓く未来―SQ・TransAIを活用したシンマイクロクレデンシャルシステムと学習教育プラットフォーム・エコシステムの可能性

鈴木 秀顕(松蔭大学)


日本社会におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)改革が進む中、教育分野においても新たな学習・評価体系の構築が求められています。本セッションでは、「シン教育プロジェクト」が提案するシンマイクロクレデンシャルシステムを中心に、次世代型学習エコシステムの実現可能性について議論します。
シンマイクロクレデンシャルシステムは、学習者の能力・スキルを可視化し、社会的知性値(SQ)の計測やTransAI(AIを活用した学習分析)と組み合わせることで、個々の適性に応じた教育機会を提供します。また、本プロジェクトでは、データドリブン型の学習マネジメントを活用し、地域社会や企業と連携しながら、生涯学習の仕組みを強化することを目指します。
さらに、学習成果の評価基準を標準化することで、教育・産業・地域社会をつなぐプラットフォームを形成し、継続的なスキルアップを支援する枠組みを提案します。本セッションでは、これらのシステムの実装事例を紹介し、学習エコシステムの未来像について参加者と共に考えます。

B プラットフォーム・エコシステム6/26(木)  15 : 00~16 : 30  オンライン

B6
AI×文学研究の可能性を探る(仮)

村上 浩介(国立国会図書館 電子情報部 電子情報流通課)


学術においてはデジタル技術や資源を活用した研究が進められてきた。近年ではとりわけ大規模言語モデル(LLM)をはじめとするAI技術の進展は目覚ましく、デジタル人文学でもその活用が進められている。文学研究においても、研究の効率化や深化の観点で大きな役割を果たしていく可能性がある。
本セッションでは、早くからデジタル技術を活用して文学研究をされてきた研究者の方々から、AIやLLMの可能性、国立国会図書館のデジタル化資料・本文テキストを活用した研究のアイデア等を紹介いただく。また、AI時代における研究基盤としてのデータ共有・活用の重要性や課題、市民参加型研究の可能性、考えられる将来の研究の姿(例えば生成AIを介して文献間を橋渡しする、新たな学術ネットワークの形成等)についても議論いただく。

B プラットフォーム・エコシステム6/26(木)  17 : 00~18 : 30  オンライン

B7
研究データ利用事例の収集・分析・活用に向けて

北本 朝展(国立情報学研究所)
中原 陽子(国立情報学研究所)
清水 敏之(九州大学)


FAIR原則など研究データ公開のベストプラクティスが普及してきたのに対し、Reuseの結果として生まれる研究データ利用事例の収集・分析・活用にはまだ多くの課題があります。まず収集については、データ引用の仕組みが広まりつつありますが、引用数の集計にとどまらず引用の意図も分析することで、データ利活用の現状をより深く理解できるようになります。次にデータ利活用のさらなる拡大には、他者のデータ利用事例を参考にしながら、新たな利用事例を創出していく仕組みが必要です。そこで本セッションでは、研究データ利用事例の収集・分析・活用に関する理論と実践に焦点を合わせた発表や議論を行います。また、研究データ利用事例共有システムである「Mahalo Button」のチュートリアルも行います。

講演者・チュートリアル予定者:

  • 北本 朝展(国立情報学研究所)
  • 中原 陽子(国立情報学研究所)
  • 清水 敏之(九州大学)
  • 西川 開(筑波大学)

B プラットフォーム・エコシステム6/27(金)  17 : 00~18 : 30  ハイブリッド予定

B8
データと計算の新たな共鳴:HPCと研究データ管理の未来

門平 卓也(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)


現代の科学研究は、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)と研究データ管理の緊密な相互作用によって大きな変革を遂げようとしています。このパネルディスカッションのテーマは、「研究データ管理とHPCがお互いに影響を及ぼしながら、どのように進化するのか」に焦点を当てます。HPCはスパコンに代表される高速システムを構築し、その単体としての性能確保を行ってきました。一方、研究データ管理は、単なるアーカイブから動的にさまざまな箇所で生み出されるライブデータ活用へと拡大し、NIMSのMDPFなど様々なデータプラットフォームが稼働しています。こうした中、たとえばオンプレミスとクラウドのハイブリッドモデルの採用が進む一方、その性能はネットワークを介した分散データ操作も含めて考慮する必要があります。さらには計算性能の定義自体を考えなおす必要があるかもしれません。本セッションでは、HPCと研究データ管理がどのように科学研究の基盤として進化できるのかを探り、外部機関との連携による全国規模のインフラ構築までを含め、将来の研究環境をどのように構築すべきかを問いかけます。

C FAIR原則

C FAIR原則6/23(月)  11 : 00~12 : 30  オンライン

C1
今、「オープンさ」を改めて問う

井出 和希(大阪大学 CiDER/ELSIセンター)
榎本 啄杜(大阪大学 ELSIセンター)
長門 裕介(大阪大学 ELSIセンター)
神崎 隼人(大阪大学 附属図書館)


近年、「オープンサイエンス」の学術研究政策上の重要性が増し、基盤整備と共に推進の機運が高まっている。公的資金による研究に基づく学術論文や付随するデータの「即時オープンアクセス」も実現されようとするなかで、「オープンさ」のそもそもを考える機会は少ない。オープンであることは常によきことであろうか。オープン概念そのものを整理しながら、結果としての「オープンさ」だけでなく、その過程についても議論を深めたい。知的財産権や安全保障上の問題をこえて、学術論文や付随するデータのオープンさと「社会への還元」といった論点に閉じることなく、これからの学術研究のあり方を考える機会とする。パネルディスカッションでは、参加者からのコメントも踏まえて議論を展開する。

D 市民科学

D 市民科学6/23(月)   17 : 00~18 : 30  オンライン

D1
地域と連携した人文系学術研究データ生成の可能性と課題(仮)

堀井 洋(合同会社AMANE)
小川 歩美(合同会社AMANE)
加納 靖之(東京大学地震研究所)
前田 和弘(伊那市地域おこし協力隊)


古文書や民具など地域資料を対象とした学術研究データ生成については、これまで様々な議論・取り組みが行われてきた。特に、昨今の機械可読な学術研究データに対する需要の高まりにより、より大規模かつ効率的なデータ生成手法の確立が急務となっている。その一方で、地域の過疎化・人口減少が急速に進行する現状においては、市民の地域資料に対する興味・関心を喚起させ、地域文化に対する理解を継続的に促すことも重要な課題である。

合同会社AMANE・長野県伊那市・みんなで翻刻プロジェクトは、2024年9月に「地域資料デジタルアーカイブの公開にむけた包括的連携協定」を締結し、伊那高遠地域の古文書を対象とした「第1回古文書解読コンテスト」を実施した。本セッションでは、本事例を中心に市民参加型の人文系学術研究データ生成の可能性と課題について、多様な視点から議論を行う。

D 市民科学6/24(火)  19 : 00~20 : 30  オンライン

D2
和算書の魅力を後世に伝えたい! 和算書アーカイブ構築に向けた文理融合の取り組み

小幡 圭祐(山形大学)


和算は中国の系譜を引き江戸時代に生まれた日本独自の数学で、西洋数学の方程式論や行列式に相当する点竄術、円周率や円の面積を扱う円理などが独自に発展した。提案者が所属する山形大学の附属図書館にも、代表的な和算家・関孝和に対抗し、東北地方に一代学閥を形成した会田算左衛門(1747~1817)に関する和算書が大量に残されている。しかし、和算に関心を持つ研究者も年々減少し、山形大学附属図書館に所蔵されている和算書も長らく退蔵されたままとなっている。
そこで提案者らは、歴史資料のデジタルアーカイブの作成に携わる人文系研究者と、和算・OCRなどを専門とする理系研究者がタッグを組み、誰でも容易に和算書に触れることができる和算書アーカイブを構築し、和算の魅力を後世に伝える活動に着手した。本セッションでは、アーカイブ構築やOCR・図形認識にかかる実践を紹介するとともに、よりよいアーカイブを作るためにはどのような方法が最善なのか、より魅力的なアーカイブとするためにはどのような取り組みが必要なのかを参加者とともに議論することを目的とする。

登壇者:

  • 小幡 圭祐(山形大学 人文社会科学部/歴史学・地域アーカイブズ学)
  • 脇 克志(山形大学 社会共創デジタル学環/応用数学・和算)
  • 佐藤 琴(山形大学附属博物館/博物館学・日本美術史)
  • Diez・Donoso Santiago(山形大学 理学部/数理情報学)
  • Antonia Karisl(早稲田大学 高等研究所/古文書学・OCR技術)

D 市民科学6/26(木)  11 : 00~12 : 30  オンライン

D3
気候変動分野におけるシチズンサイエンスによる市民知と科学知の統合の可能性

馬場 健司(東京都市大学 / 総合地球環境学研究所)
谷口 真人(総合地球環境学研究所)
木村 道徳(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)
古崎 晃司(大阪電気通信大学)


科学者とともに市民が、研究デザイン、データ収集、解釈プロセスに参加するシチズンサイエンスは、生態学、水文学、気象学、人文学など様々な分野で実践され、成果を出しはじめている。近年のセンシング技術、IoTやAIの発展が、市民への参加機会や役割を広げている一方で、科学的データ収集と知識生成の協働的方法を過去から連綿と培ってきた分野もある。その背景には、各分野における学術的な特性だけでなく、科学者と市民のバウンダリや重層性、過去の対立の経緯(経路依存性)などの相違があると考えられる。そこで本セッションでは、気候変動科学分野を対象としてシチズンサイエンスの実践例を取り上げ、特に市民知と科学知とを対等に位置づけ、使い分けたり棲み分けたりすること(調整)や、両者を交流させたり、融合させたりして新たな知を創り出したりすること(統合)の可能性、IoTやAIを活用した熟議のためのプラットフォームによるサポートの可能性等について議論する。

D 市民科学6/27(金)  15 : 00~16 : 30  ハイブリッド予定

D4
シビックテックとシチズンサイエンス

武貞 真未(大阪大学大学院)
砂川 洋輝(一般社団法人コード・フォー・ジャパン)


シビックテックコミュニティでは、オープンデータの利活用やオープンソースソフトウェアの開発を通して市民社会に貢献する活動が進められてきました。近年、東アジア各国のシビックテックコミュニティと連携する中で、また外部研究機関とのコラボレーションが増えて行く中で、シビックテックとシチズンサイエンスを推進していくためのデザインが求められています。これまでの国立環境研究所とのカーボンフットプリントの可視化プロジェクト、国立精神・神経医療研究センターとのパブリックヘルスのためのデジタル活用、大学との連携事例などを紹介しながら、これからの取り組みについて科学者・技術者とともに考えていくための対話です。

E コミュニティ

E コミュニティ6/23(月)  19 : 00~20 : 30  オンライン

E1
Charting the Future of Scholarly Publishing and National Consortium Agreements in the Era of Open Science

小泉 周(北陸先端科学技術大学院大学)


Description: Scholarly publishing is undergoing a major transformation in the global wave of open science. As Japan introduced new open science policies last year, the evolving landscape presents both challenges and opportunities for scholarly communities, which must collaborate to shape the future of research dissemination.

A key aspect of this transformation is the development of national consortium agreements to support sustainable and equitable open-access publishing. This session, co-organized with the STM Association, will examine how scholarly communities can work together to build effective national-level frameworks. Drawing insights from Germany’s experience with the DEAL Konsortium—where collaboration among institutions and publishers has significantly increased open-access publication rates—this discussion will explore how similar models can be adapted for Japan.

By bringing together distinguished panelists—including experts from university libraries, publishing, and research administration—this session will emphasize the need for collective action to create a sustainable and open research ecosystem.

Attendees will gain a deeper understanding of how cooperation among stakeholders can drive the development of a successful national consortium, strengthening scholarly communication and enhancing research visibility in Japan and beyond.

E コミュニティ6/25(水)  17 : 00~18 : 30  オンライン

E2
若手セッション:オープンサイエンスについて話そう!

大月 希望(東京大学)


本企画は「若手セッション」として、主に研究・教育の中でオープンサイエンスについて発表とパネルディスカッションを行います。高校生、大学院生、若手研究者、また若手を育てる立場の教員を中心に、オープンデータを活用した研究成果、教育現場での利用事例、DEI時代のオープンサイエンス、生徒・学生の立場からの困りごと、管理・提供における悩みなど、広く議論や情報交換ができる時間にしたいと思います。
次世代を担う若手の視点からオープンサイエンスを考え、成果報告だけでなく経験や悩みをぶつけ合うことで、新たな知の共有・共創の形をつくり出す一歩になるかもしれません。先輩方からは温かいご助言をいただければ嬉しいです。みなさまのご参加をお待ちしております!

E コミュニティ6/27(金)  9 : 00~10 : 30  ハイブリッド予定

E3
オープンサイエンス時代の研究振興および研究基盤整備のための資金調達の在り方

永井 裕子(NPO法人 ScholAgora)
尾城 孝一(NPO法人 ScholAgora)


オープンサイエンスの振興には、さまざまな資金が必要となることは言うまでもない。研究そのものを支える資金としては、国から大学等の研究機関に配分される交付金、科研費、その他のさまざまな公的な助成金がある。また、研究基盤の整備には、研究ネットワーク等、あるいは電子ジャーナルなどの学術情報の整備も含まれる。これらの資金の大部分は、国から配分されている。しかし、国からの配分額は、その時々の財政状況によって大きな影響を受ける。国による単一の財政支援のみに頼っては、オープンサイエンスの持続的、安定的な進展はむずかしい。なんらかのセイフティネットが必要とされる所以である。国からの支援のみならず、他のさまざまなファンディングの仕組みを組み合わせて、補完的、重層的に研究そのものや研究の基盤整備を進めていく必要がある。こうした背景のもと、昨今、研究資金の調達にクラウドファンディングの手法を援用する試みも始まっている。本セッションでは、研究者、大学のURA、クラウドファンディングにより研究を助成する試みを行う企業からの発表に基づき、オープンサイエンスを支えるファンディングの在り方について討議したい。

E コミュニティ6/27(金)  19 : 00~20 : 30  ハイブリッド予定

E4
シビックテックにおける参加のデザイン~オープンソース・オープンデータが拓く共創~

瀬戸 寿一(駒澤大学 文学部 地理学地域文化研究専攻 准教授 / 東京大学 空間情報科学研究センター 特任准教授)
白松 俊(名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授 / 東京大学 空間情報科学研究センター 特任教授)
白澤 美幸(東京大学 空間情報科学研究センター 特任研究員)


F メタデータ

F メタデータ6/24(火)  9 : 00~10 : 30  オンライン

F1
研究データをより見つけやすくするためのメタデータ変換と学術機関リポジトリへの登録

能勢 正仁(名古屋市立大学 データサイエンス研究科)
新堀 淳樹(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)
直江 千寿子(名古屋大学附属図書館)
芦北 卓也(九州大学附属図書館)


太陽地球系物理学においては、メタデータデータベースの構築やそれを検索することで研究データの情報を簡単に得られるような研究基盤が整えられてきている。その意味で、この分野では、「FAIR原則」 の中の「Findability」は一定のレベルに達していると言える。しかしながら、このような研究データの検索は、NASAやIUGONETプロジェクトが提供する専門性の高いホームページからのみ利用が可能な状況であり、専門外のより広い研究コミュニティや一般市民に対しては、「Findability」はそれほど高められてはいない。研究境界領域における融合研究や市民科学を促進するためには、メタデータデータベースの被検索性を向上させる必要がある。こうした問題に対し、(1)専門分野のメタデータスキーマで記述されたメタデータを、広く利用されている汎用メタデータスキーマに従うメタデータ形式に変換し、(2)変換したメタデータを、学術機関リポジトリに登録する、ことで解決を試みた。本セッションでは、上記取り組みの詳細とその成果の報告に加え、同様の取り組みやメタデータ互換性に関わる話題を提供し、研究データを見つけやすくし、その流通・利用を促進するための方策について議論を行う。

F メタデータ6/25(水)  19 : 00~20 : 30  オンライン

F2
異分野の研究データをつなぐ:統合検索システムの構築とメタデータの課題

朝岡 誠(国立情報学研究所)


近年、オープンサイエンスの推進に伴い、政策や研究資金提供機関の要請、データ駆動型研究の発展などにより、研究データの公開と共有の重要性が高まっている。しかし、研究データは異なる機関や分野ごとに管理され、それぞれ異なるメタデータ標準が採用されているため、横断的な検索や利活用は容易ではない。本セッションでは、異なる機関・分野の研究データを統合的に検索可能なデータカタログの運用をテーマに、統合検索システムの構築意義とその効果について議論する。特に、メタデータ標準化や相互運用性の確保、異なるデータ構造の統合における課題に焦点を当て、Schema.org などの標準メタデータの活用や API を用いたデータ統合の可能性についても議論を深める。研究者が分野を超えてデータを発見し、新たな知見を生み出す環境の構築を目指し、多様な関係者との協力促進や具体的な方策についても事例を交えながら検討する。

G 図書館/博物館/大学でのデータ管理

G 図書館/博物館/大学でのデータ管理6/24(火)  15 : 00~16 : 30  オンライン

G1
研究データの未来を築く:研究データ管理人材の育成によるオープンサイエンスの拡がり

甲斐 尚人(大阪大学)
白井 詩沙香(大阪大学)
神崎 隼人(大阪大学)
Voulgaris Nikolaos(大阪大学)


研究データの適切な管理と共有は、学術の発展に不可欠であり、データ管理スキルの普及が急務となっています。大阪大学と国立情報学研究所(NII)は、研究者・研究支援者・学生を対象に、オープンサイエンスの実践を担う人材育成を進めています。昨年度は、「研究データの未来を築く:研究データエコシステム構築のための人材育成」をテーマに、国内外の最新動向や教材開発の進捗を報告しました。今年度は、これらの情報をアップデートし、最新の取り組みや課題を共有します。
現在、複数のプラットフォームを活用して、研究データエコシステムの基礎的な知識、実践的な知識を広く公開し、より多くの学習者がアクセスできる環境を整備しています。今後は、オープン教育資源(OER)の概念を取り入れ、教育・研究機関間での教材の共有や再利用を促進することを視野に入れています。また、職種別カリキュラムの開発を進めるとともに、実践的な研修にも取り組み始めており、学習者のフィードバックを踏まえた教材の改修や、実践と連携した教育プログラムの強化を進めています。
さらに、国内の様々な規模の大学や研究機関でも適用可能なモデルの確立を視野に入れ、教材の実装と評価を進める予定です。

G 図書館/博物館/大学でのデータ管理6/27(金)  11 : 00~12 : 30  ハイブリッド予定

G2
データ管理専門職のペルソナ設計

南山 泰之(東京大学)
小林 裕太(千葉大学)
熊崎 由衣(千葉大学)


近年、政策的な側面から大学・研究機関によるデータ管理の要請が強まりつつある。2024年2月に公表された「学術論文等の即時オープンアクセス実現に向けた基本方針」では、所定の競争的研究費によって生成された学術論文及び根拠データは、学術雑誌へ掲載後即時に機関リポジトリ等の情報基盤への掲載が義務づけられており、機関リポジトリ実務者にとっては根拠データの登録が現実問題として迫ってきている。一方で、日本ではデータライブラリアン、データキュレーターなどの専門職が根付いておらず、機関リポジトリの担当者はデータ管理や公開といったタスクに対して、どのような態度で臨めばよいのか具体的なイメージを持てていない。さらに、データ管理は分野によっても流儀が異なるため、個別対応がどの程度発生するのか手探りの状況が続いている。
このような現状把握をもとに、本セッションではワークショップ形式で各分野のデータ管理者のペルソナを作成し、データ管理に求められる専門家としての人物像を明らかにすることを試みる。手順としては、まずデータ管理に明るい各分野の研究者を数名お招きし、ご自身の日常的なデータ管理の実態、及び他者に委託している/委託したいデータ管理業務についてご紹介いただく。続いて、各参加者は各研究者から提案された業務を実施できる人物像を議論し、所定のテンプレートに沿ってペルソナを作成する。ここまでの作業は、全てパラレルに実施する。最後に、各分野の研究者及び参加者全体で、各班に分かれて作成したペルソナをレビューする。この試みを通じて、データ管理の実務に関する理解促進、議論の深化を図りたい。

G 図書館/博物館/大学でのデータ管理6/27(金)  13 : 00~14 : 30  ハイブリッド予定

G3
Hungry Session: Research Data Alliance RDA23会議報告

谷藤 幹子(国立情報学研究所)
村山 泰啓(NICT)


2024年11月11日(月)~15日(金)に、研究データについての国際会議Research Data Alliance(RDA)の第23回会議が、コスタリカ共和国の首都、サン・ジョゼにあるコスタリカ大学で開催された。RDAは、2013年にコミュニティ主導のSocial-Technical Bridgeの場として立ち上げられた。研究データの自由自在な共有と再利用をビジョンとし、データ共有に必要なデータ基盤からデータ利活用にかかる技術、分野、国を超えた専門家が集まる国際組織としてアカデミア(学会等)と異なるユニークな存在である。研究データに関する政策、研究成果を公開する出版社、管理保存する図書館、データ流通にかかる企業等、セクタを超えた協働の場として12年目になる。
日本の研究データコミュニティにつなぐ場として、会議参加した人も、できなかった人も、ちょっとだけ関心ある人も、お弁当を食べながらカジュアルにおしゃべりするランチトークに参加しませんか。

JOSS恒例セッションとなりつつある今回は、現地参加した谷藤・村山の2名がホストします。

H 政策・ポリシー

H 政策・ポリシー6/24(火)  17 : 00~18 : 30  オンライン

H1
英国王立化学会(RSC)のOpen Accessへのアプローチ - 地域のニーズに合わせた最適モデルの構築 -

柴田 邦康(Royal Society of Chemistry)
山崎 恵理子(Royal Society of Chemistry)
フ・ジャンハオ(Royal Society of Chemistry)


Royal Society of Chemistryは、化学の力で世界をより良くするために、刊行する全ジャーナルを将来、Open Accessにする目標を立てました。病気から気候変動まで世界規模の課題に取り組むために、最先端研究への世界中からの自由で無制限なアクセスをご提供する環境を目指します。その実現に向け、現在は転換契約を軸に従来の購読モデルからの移行期にあります。世界では41ヵ国、1,300以上の機関と転換契約を結び、日本でも36機関との転換契約の下、2025年度即時OAの国の方針をサポートします。今回のセッションでは、その取り組みを世界と日本の2面から英国本部と日本事務所の合同でご紹介します。このセッションが、全関係機関の皆様に当会の理念を知っていただく機会となり、今後の更なるパートナシップ構築につながれば幸いでございます。

H 政策・ポリシー6/25(水)  15 : 00~16 : 30  オンライン

H2
政策に科学の光をあてる

佐分利 応貴(RIETI)


現代社会が直面する複雑な課題に対して、効果的な政策立案はますます重要になっています。しかし、政策の決定や実施手法に科学的アプローチが十分に活用されていないケースも少なくありません。

本セッションでは、政策立案・実施における科学の役割と重要性について深く掘り下げます。

  • エビデンスに基づく政策立案の重要性(EBPM)
  • 科学的データの収集と分析手法
  • 研究成果を政策に反映させるプロセス
  • 科学者と政策立案者の効果的なコミュニケーション方法
  • 科学的知見を一般市民に伝える技術

政策立案者、研究者、ジャーナリスト、そして科学と政策の関係に興味を持つすべての方々とともにこれらの問題を議論したいと思います。
ぜひご参加いただき、科学の光で照らされたより良い政策立案・実施の未来を一緒に考えましょう。

H 政策・ポリシー6/26(木)  19 : 00~20 : 30  オンライン

H3
G7オープンサイエンスWG 10周年:これまでの歩みとこれから

林 和弘(NISTEP)


2016年のG7つくばサミットにおける科学技術大臣会合において、日本の提案により**G7オープンサイエンスワーキンググループ(G7 OSWG)が発足し、今年で10周年を迎える。本セッションでは、G7 OSWGの設立背景やこれまでの成果を振り返るとともに、今後の展望について議論する。本セッションでは、初代WG共同議長の原山優子氏、現共同議長の村山泰啓氏を迎え、設立当時の経緯や、G7におけるオープンサイエンス政策の進展について共有する。その後、専門家を交えたディスカッションを通じて、G7 OSWGの今後の方向性や、日本および国際社会が果たすべき役割について検討する。